Bad Girl~不良少女~
「おっおい!!何してんだよ!!」
案の定、慌てた様子で俺の腕を掴んで離そうとする。
「友也が稜ちゃんを好きになった理由、わかる気がする。
俺も、稜ちゃん好きだよ。あ、もちろん友也とは違う意味でね」
なんだかんだ、人を見る目はある友也が好きになった子だもん。
見た目がどうでも、家がどうでも、俺の腕の中にいる彼女は紛れもなくいい子だ。
……ペット的な意味も込めて。
「なぁ、もうチャイム鳴ってんぞ?授業始まってると思うんだけど」
腕を離したと同時に稜ちゃんの放った言葉は、俺の脳裏に電撃を走らせた。
「やばっ!!怒られる!!じゃね、稜ちゃんっ」
せかせかと走りながらも手を振れば、おかしそうに微笑んでくれた。
「すいませんっ、遅れました!!」
「綾村、珍しいな。早く席着け」
日頃の行いのおかげか、先生に咎められることもなく済んだ。
……稜ちゃんに会ったことは、口が裂けても友也には言えないかな。
たぶん、すごい勢いで殺される。