Bad Girl~不良少女~
「取り合えず……お前、そっから離れろ」
珍しく香矢の声が怒りを感じさせるものだった。
爆発したら怖いんだぜ、こいつ。
「あ~ぁ。かわいい妹ちゃんが目の前でヤられんの見てられないってか?」
誰がてめぇとヤるって言ったよ、こら。
うち的にも今すぐ栗崎にどけてもらいたいんだよね。
「は。意味わかんないことほざいてんじゃねぇよ。てめぇ仮にも生徒会長だろ?同じ学校の生徒無理やり犯したなんてバレたら未来は丸潰れだね」
きっと栗崎の一番弱いところを突いただろう。
生徒会長とか好き好んでやる奴の気持ちなんて分からんけど、成績が落ちるとか将来丸潰れとかって言葉は最も恐れることだと思う。
案の定、渋々だけど栗崎はうちから離れた。
「チっ。…またね、稜ちゃん。この次は完璧に頂くよ?」
耳元でそう囁くと栗崎は香矢が立っている襖の方へ歩いて行った。
薄暗い所為ではっきりは見えないけど、香矢と栗崎がすれ違う瞬間の空間はとてつもなく険悪なものだった。
「はぁ…」
「稜!!大丈夫か!?」
栗崎がいなくなったって言う安心感からか、ふっと気力が失せて倒れそうになったうちを香矢が支える。
「お前……栗崎と?」
「ないないない!!」
全力で否定しておかなきゃ、うん。