Bad Girl~不良少女~



「何が誤解だよ。俺がこの目ではっきり見てるんだから」


「それが誤解だって言ってんの。……栗崎が勝手にうちについて回ってるだけ。こっちはあいつのこと大っ嫌いなの」


「ふぅん」


そんなの嘘だね、とでも言いたそうな顔をして香矢は机の上の本を取って読み出した。


「ちょーっと!!」


香矢から本を取り上げて睨みつけてから、ハァと息を吐いた。


「どうしてこの家の人は家族を信じないんだろうね。どうしてこの家の人は家族を心配しないんだろうね」


普通の家じゃ考えられないくらい心配するとこ違うし。


香矢だけは別だと思ってたのにさ…。


香矢だけはうちを信じてくれて、まともに心配してくれると思ってたのにさ…。


「俺だってこの家の人間だぜ?」


その先は言わなくてもわかるよな、と目が言っていた。


多分、香矢だってこの家の人間だから、うちが考えてるほどまともじゃないって言いたいんだろうけど。


うちから見れば香矢はなんてまともなのだろうと思うのだけど。


「でも、少なくとも親父やじいや三波よりゃマシだぜ?」


「…それと、お前よりもな」


「どういう意味だよ」


お互い憎まれ口を叩くけど、三波と違って本気でやり合うわけじゃない。


三波は、ちょっと短気すぎんだな。
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