時雨の夜に
その後は、友達と買い物に駆け回る。


恋人の前では出せなかった自分自身を曝け出して、あっちに行こう、こっちに行こうと、好きなだけ笑い合った。


いろいろ歩き回って陽も落ちると、友人は時間に気を付けてバイト先へ。

私はもう少し時間を潰そうとして、デパート内の雑貨屋に足を運んだ。



そして、食器の棚の前で立ち止まる。


赤と青、2色ワンセットのマグカップは、3年記念日にあたる先週の土曜日──あの雨の日に、彼に贈った物だった。


まさか記念日に破局するなんて思いもしなかったし、思いたくもなかった。

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