時雨の夜に
「また傘がなくて困ってる?」
図星を指されて、私は苦笑した。
「やっぱり。──で、提案なんだけどさ。今、時間ある?」
「え? あ、はい」
「雨待ちがてら、夕食、一緒にどうかと思って」
「は、はい! もちろんです!!」
猜疑心がなかった訳じゃない。
むしろ、疑う点ならごまんとある。
そうであるのに二つ返事でオーケーしたのは、どうしようもなく彼に興味を持っていたからだ。
決まって雨降りの日にだけ現れるという、彼の奇妙さに──。
図星を指されて、私は苦笑した。
「やっぱり。──で、提案なんだけどさ。今、時間ある?」
「え? あ、はい」
「雨待ちがてら、夕食、一緒にどうかと思って」
「は、はい! もちろんです!!」
猜疑心がなかった訳じゃない。
むしろ、疑う点ならごまんとある。
そうであるのに二つ返事でオーケーしたのは、どうしようもなく彼に興味を持っていたからだ。
決まって雨降りの日にだけ現れるという、彼の奇妙さに──。