時雨の夜に
そんな稚拙で童話じみた話、にわかには信じがたかった。


「信じてないんだろ?」

「信じろって言うほうが無理ですよ。本職は?」


シグレは「はぁ~…」と長いため息をついた。


「よし、分かった、他の話をしよう」

「他の話って?」

「そうだな……」


しばらく明後日の方を見て考えたのち、また私の方を向く。


「何で暗い顔してたの?」


私はあからさまに不快な顔をしてみせた。

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