時雨の夜に
「シグレさんには関係ない話じゃないですか」

「俺、君に傘貸してあげたでしょ」


それはそうだけど!


「交換条件って言いたいんですか?」

「まあまあ。──それで? どうして〝雲ってた〟わけ?」

「えーと……その、実は──……」


私は食べもしない食事を見下ろしながら、彼氏との日々を、全て語った。



出会ったのは高2の秋で、部活の選手とマネージャーという関係だったこと。

その彼は背が高くて、頼りがいがあって、優しい人だったこと。

会えばいつも優しい時間を過ごしていた。

笑顔が絶えた日なんてなかったし、3年間、ケンカもしたことなんてない。

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