時雨の夜に
すると、ニヤリとシグレは笑った。


「そいつだけが男じゃないんだからさ」


そして、待ってましたと言わんばかりにこう言った。


「──ねえ、俺と付き合ってみる?」

「えっ!!?」


当然。
私は目を皿にして素っ頓狂な声を上げた。


だって、そうだ。

まだ出会ったばかりで、しかも全然知らない人で、何も知らなくて──。


だいたい、『雨男』だなんて夢みたいなことを言い張る人なんて、危ない奴に決っている──



──だけど……。



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