赤ずきんちゃんと狼くん


薄暗い森の中にふと、目の前に光が見えてきた。



はぁ‥、やっと花畑に着いた‥。



たくさんの木の中から抜け出すと、色んな花がいっぱい咲き乱れている花畑に着いた。


ここで少し花を摘んでいこう。
おばあちゃんは花が大好きだから‥。



わたしは花畑の真ん中くらいまで歩いて行って、そこにしゃがみ込んだ。


赤に黄色、紫に水色、青に桜色。
色とりどりのたくさんの花を両手いっぱいに摘んで、わたしは立ち上がった。



赤いワンピースのポケットに手を突っ込んで、桜色のリボンを取り出した。



このリボンで花を纏めて‥っと。
できた!



桜色のリボンで束ねられた色とりどりの花束。


そろそろ行かなきゃ。
暗くなってしまう‥。


わたしは花束を左手に抱えておばあちゃんの家の方を見た。



―――――あれ?なんだろう‥?



おばあちゃんの家の方を見たとき、花畑からぴょこんっと茶色い耳のようなものが出ているのを見つけた。


恐る恐る近付いて行くけれど、茶色い耳の主はわたしの気配に気がついていないのか全く動かない。


何故動かないのかしら?
獣は耳が良いはずなのに‥



不思議に思いながらも近付いていく。すると、茶色い耳の主はわたしに背を向ける格好で花畑に座り込んでいた。



「――――誰?」



茶色い耳の主にそう声をかけた。
すると、茶色い耳の主はわたしの方にゆっくりと振り向いでこんにちは"と言った。


振り返った彼はすごく整った顔をしていて、微笑んだその顔はとても可愛らしかった。
< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop