不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「感想文なんて、小学生かっつーの」
「……そんなに文章書くのが嫌なんですか?」
リンが言った。とげがある言い方だ。
……わざわざ隠すこともない。
「……苦手だ」
そもそも学校の宿題が苦手だ。
オレは夏休み、作文の宿題をいつも最後のほうにやる男だ。
そんなオレが進んで作文などできるはずがない。
「そんなときはパソコンでぱぱっとやってしまえばいいんだよ」
藤沢は手で空中のキーボードをたたくまねをする。
藤沢はパソコン部で、パソコンが大の得意だ。
画面を見ない、タッチタイピングができる。
それを得意げに見せられたとき、かなりむかついた。
「誰もがお前みたいな人間だと思うなよ!キーボード見たり画面見たりで首が疲れるだろ!!」
「慣れの問題だよ!」
「慣れるかあっ!!オレはお前みたいに強くなれないんだあっ!!」
キーボードを見ずに正確にたたける人間。
そいつらがオレには機械にしか見えない。
「慣れるといいんだけどなあ……」
藤沢はいまだに空中のキーボードをたたき続けている。
リンは、オレに少しあきれているように、ため息を吐いた。
「……学校の宿題だと思わなければいいんですよ」
それは名案だ。