不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「じゃあなんて思えばいいんだ?」
「創作活動」
リンは意気揚々と言って見せた。
「オレ、図画工作が苦手だったんだよ」
正直心証はよくなっていない。
「僕は粘土が嫌いだった。何あのべちゃべちゃしたの。次開けると硬くなってるしさ」
「……藤沢の粘土には水が混ぜられていたんじゃないのか?もしくはセメントだったとか」
「違うよ!セメントだったら硬すぎるよ!」
「他はないのか。他」
オレはリンに尋ねる。
「趣味」
「もともと嫌いなものを趣味にできるかーって」
「遊び」
「何遊びだよ」
「……鬼ごっこですかね?」
それはない。
「何だよ。結局話がつかないじゃないか」
「議論がいたちごっこしてるね」
藤沢。
鬼ごっこだけにいたちごっこ。
「まあ帰ってきてから考えるか」
「そうですね。気楽にやるといいんですよ」
「あれ!?今さっき僕上手くなかった?僕上手いこと言わなかった!?」
言ってない。気のせいだ藤沢。
「しかし、もし向こうで暇になったらどうやって暇を潰せばいいんだ」
「本を持ってきました」
リンがカバンの中をちらっと見せてくれる。
二、三冊の文庫本が顔を覗かせていた。
リンはそれでいいかもしれないが。
「貸しませんよ」
「だったら見せるな!いーっだ!」