不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「ふざけてないでさっさと行け。あと人の名前くらいちゃんと覚えろ」

はいはい、とオレは適当な返事をする。

……何だったっけ?

まあいい。

オレはうちのクラスの担任に文句をぶつける事にする。

時間つぶしだ。

「なんでこんなところ回らすんだよ。メンドクサイ」

「建前は、一生徒として日本の歴史の確認だな」

『建前は』って……。

うちのクラスの担任は見た目三十前後。

教師陣の中ではやっと発言権が得られるくらいだろう。

性格はかなりフランクで、

「……世界史教師としてはどうよ、ここ?」

「微妙、だな」

そんな人間である。

「……安心しろ。テストには出さない」

「出したらブーイングだ」

ちなみに、担任とまじめに会話した回数は五本の指に収まる。

「とりあえず、お前俺の授業くらいまじめに聞けよ。テストで赤点取ったらフォローするの俺なんだぞ」

「まじめに聞いてるよ。……開始十分のニュースだけ」

この教師の世界史の授業は、最初の十分間ニュースの話がされる。

おかげでニュース番組を見なくても最近の出来事がわかる。

「新総理についてどう思うよ」

「お前こないだの報ナビ見たか?会話がすり替わりまくっておもしろかったぞ」

それにしてもこの教師、ノリノリである。


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