不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「ああ、確かに。もう一人の候補のほうがよかったんじゃね?ネットじゃあ人気高かったし」
オレのしょうもない知恵は政治にも及んでいる。
話がわかるからか、世界史の十分間ニュースは聞いていておもしろかった。
「まあ総理なんて同じ仲間内から出される人間だからな。どうせ出来レースだっただろう」
首相は議員の選挙で決まるだったな。
その可能性もあるかもしれない。
「……と、陰謀説をほのめかしてみた」
「だよな、政治って難しい」
担任は気の合う人間でよかったと思う。
オレみたいな無気力な生徒、いても迷惑なだけだからな。
ある意味オレのような存在が問題児だ。
そう自覚している。
「……さっさと行けよ。なんなら俺と一緒に回るか」
「遠慮するぜ」
オレは逃げるようにその場を立ち去った。
館内は冷房が効いていて、涼しかった。
担任から見えないところまで来て、立ち止まる。
出入り口は一箇所なので、ここで待機して時間になったら出て行けばいい。
オレはふうと息を吐く。
……時間まで暇だ。
こんなことなら藤沢と回って……いや、藤沢をここにとどめておくべきだった。