不思議病-フシギビョウ-は死に至る


きっと時間をかけると、仲良くなれる。

だけれど、最初の一歩が踏み出せない。

リンはそんな人間なのだろう。

オレだって、その一歩が怖いさ。

だけど、

「勇気を出してみたらいい。失敗しない人間はいないさ」

それがオレの性分だ。
正確にはメンドクサイを足して二で割ったものだが。

「……らしくない説教でした」

「悪かったな」

高校生になって何かを悟ったってわけじゃない。

ただ中学生のときよりは視野が広くなったと思う。

だから、こんなプラス思考ができるようになったのだとも思う。

「……あんまり深く考えるものじゃないってことだ」

「そっちのほうがナオキさんらしいですね」

そう言って彼女は小さく笑った。

――いつか、出来るようになるといい。自分から輪に入っていくことが。

まあそれまでは適当に頼られてやるさ。

心の中でリンにそう言った。





「やっほー、リンちゃん、ナオキ」

オレが話し終えたところで、サヤがやってきた。

クラスが別だからバスも別。

それでも同じ学年だから来ているに決まっているが、忘れていた。

サヤの後ろには……紙袋を提げたエイヤがいた。

紙袋には、この博物館のマークだろうものがプリントされている。

「……お前ら、こんな早くに土産屋に行ってたのか」


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