不思議病-フシギビョウ-は死に至る
土産屋。
歴史博物館と言うだけはあって、土産も歴史に関するテーマのものが多かった。
「年表カレンダーって、ネーミングから何がしたいのかわかんねえよ」
値札に並んで書かれている商品名を読む。
何年のカレンダーかはっきりしなさそうなのがポイントなのかもしれない。
「桶狭間の戦ネクタイ……来週からこのネクタイにしませんか、ナオキさん」
ネクタイに、教科書で見る鎧武者が戦っている絵がプリントされている。
うちの学校指定の紺のブレザーとは、
「かなりミスマッチだ」
ネタで着けていっても一日しか持たないぞ。
「俺はお前らしいと思う」
エイヤはオレがネタに飢えた人生を送っていると思っているのか。
「でも、つまらないものばっかりだな」
どこか見たことある絵画がプリントされたTシャツなど、あまり購買意欲をそそらないものばかりだった。
「サヤは一体なにを買ったんだ?」
「お札サブレ」
「無難すぎて困る」
「誰もあんたみたいにネタに走ったりしないわよ」
だから、オレはネタ人生を送ってなどいない。
しかし、そんなものも帰りに買えばいい話。
オレは欲しいものはなかった。
「リンは何か欲しいものはあるのか」
「いえ、これと言って別に」
すると、サヤがリンを手招きする。
何か耳打ちをしているようだ。
「こういうときは、何かねだるものでしょ」
「聞こえてるぞー」