不思議病-フシギビョウ-は死に至る


施設の玄関前まできた。

ここまで来たら、さすがに恥ずかしいので、オレとリンは手を離した。

「じゃあ……」

その言葉は、

「また、明日」

躊躇わずに出た。



「……はい」



リンは微笑んでくれた。

……なんだか、いつもの帰りのバスと変わらないな。

そんな気がした。



それで二人は別れた。





「さて、お風呂も済んだから……」

大浴場は非常に混んでいた。

オレは洗い場に並ぶということを初めて経験した。

ちなみに、女湯を覗けるような風呂じゃなかった。

そもそも覗くには露天風呂である必要があるのでは?

そんな上等なもの青少年の家にあってたまるか。

オレはそんな愚痴を頭の中だけでこぼしていた。



「で、これからどうする?」

あとの予定は就寝のみ。

だが……これからがオレたちの時間というもの。

「来るぜ……。オレたちのサタデーナイトフィーバーが!!」

「また脈絡もないこと言うね。今日は水曜日だよ?」

それはさして問題ではないぜ。

「来るぜ……。来るぜ……」

オレは何かしらの波長を読み取る。

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!」

思いっきり叫んだら、となりの部屋の壁がたたかれる音が聞こえた。





そんなわけでオレたちは誰かが持ってきたトランプを広げていた。

のだが。

「大富豪のローカルルールなんてわけがわからんぞ」

「ナオキ、勝てないからってそんなこと言わないの」

でもルールがわかりにくい。

これならナポレオンの方がまだマシだ。

……いや、そうでもないか。



結局オレは負け続け、第二貧民という中途半端なポジションにいた。

これじゃあ埒が明かない。

「別のしようぜ。七並べとか」

「そんな簡単なゲーム、やりつくしてて、みんなこすくなるよ」


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