不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「じゃあババ抜きとか」

「いまいち」

それは同感かもしれない。

「他に何かないのかよ」

そういえば……朝、藤沢が言っていたな。



『そんなときのために』

記憶の中で、でかいカバンの中を漁る。

『……なんと!携帯ゲーム機だ!』



「そうだ!藤沢、なんかゲーム持ってきていただろ!?」

「持ってきたけど……すでにその手に持っているのは何?」

見るとオレは藤沢のカバンを漁り、携帯ゲーム機を取り出していた。

なるほど、記憶だけでなく現実でもやっていたのか。

「ちゃんと二台ある。カセットも二つ――って、オレのか」

藤沢がボケて同じカセットを二つ買ったわけじゃないか。

このゲーム機には無線通信機能がついていてゲーム機同士での通信対戦が簡単にできる。

オレは部屋の全員を向き、

「お前ら!準備はいいか!!」

と叫んだ。

「応!!」

気がつくと、すでに全員が同じゲーム機を持っていた。

「お前ら!このレーシングゲーム持ってきたか!!」

通信対戦は同じゲームじゃないと成立しない。

「応!!」

全員が同じレーシングゲームを持ってきていた。



お前ら、KY(空気読みすぎ)だろ。


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