不思議病-フシギビョウ-は死に至る
オレたちは出発した。
コンクリートで固められた道路からわき道に逸れ、土を踏みしめる。
真夜中のレーサー達は……、
「……もうだめだ!」
速攻でバテていた。
どれほど進んだだろうか。
進めど進めど山道ばかり。
それに、チェックポイントも見当たらない。
「おーい、藤沢!道合っているのか?」
オレは先頭を歩く藤沢に声をかける。
「多分」
多分ってなんだよ。
しかし、ろくな道しるべ一つなかった。
それに、地図は渡されていない。
「……ふざけんなよっ!藤沢ぁ!!」
仲間の一人が、言葉を吐き捨てた。
イラついても当然だが……藤沢に当たっても仕方ないだろ。
「俺たちお前を信用してついて来てんだぞ!」
「そ、そんなこと言われても……」
藤沢がしょげている。
……ったく。
「おい!どう責任取ってくれんだよ!!」
「やめろ」
言って肩に手を置こうとして……しかし空ぶった。
いや、そいつの体が落ちたのだ。
足を止め、下を見る。
……いた。
すぐそこが80度ほどの坂道になっていて、オレの足元にようやくつかまっている状態。
そいつは、今にも下に落ちていきそうだった。