不思議病-フシギビョウ-は死に至る
ところで、
「合宿なのに顧問のくるりんは来ないのか?」
新入生歓迎会のことを考えるといやな予感がする。
そして、この文芸部は予感や期待というものを裏切らない。
「もちろん来ない」
……やっぱり。
「休日の仕事を増やしては可哀想ではないかね。合宿の費用を部費から出してくれただけありがたいと考えたまえ」
仕事……か。
やはり書類を書くのがメンドクサイのだろうか。
「……キョウスケ君、わざわざくるりんの出張にあわせることもなかったのに」
「アンタが原因か!」
「ははは、いいじゃないか。我々だけの楽園だよ?」
もはや合宿ではなく小旅行だ。
「……生徒だけで行ってよかったんですか?」
リンが聞く。
確かに。
「正直、この歳になって保護者同伴というのはどうかね」
一理あるかもしれない。
が、
「いえ、私たちまだ十五歳です」
それを聞いてキョウスケが眉をひそめる。
「十五……だったのかね」
なんだよ。
「まだガキじゃないか……!」
ガキって言うな。後ろの『……!』はやめろ。
「カナコ君は十八……三つ上かね、三つも……!」
「キョウスケ君、ちょっとむかついた」
別に歳を気にする年齢じゃないだろうに。