不思議病-フシギビョウ-は死に至る
どこに行こうか、昨日たくさん話した。
まずは、
「……公園だっけ?」
「はい、このままバスに乗っていくと山の方に終点があります。バス停から歩いてすぐのところに展望台の公園があるんですよ」
何でも、広い公園にあるその展望台は、この町を一望できるらしい。
オレは、そんなものがあったのか、と思った。
とりあえず、
「オレは行ったことあるぞ」
と言っておく。
「そうなんですか?」
「……登校のときに寝過ごしてだが」
「ダメじゃないですか」
それも四月の話だ。
「二ヶ月半ぶり……見たことないけど」
「だからダメじゃないですか」
しばらくバスに乗って……終点に着いた。
バスの熱気から解放されて、爽やかな風が気分を軽くしてくれた。
夏の青々とした木々。
木漏れ日が地面に斑模様を作る。
視界のほとんどが緑で占められた、自分の生まれ育った町だというのに慣れない場所。
そこに立っている。
整備された地面もバスを通すためにだけあって、この景色には異質だった。
――この町にこんな場所があったんだな。
自分のインドア加減にあきれる。