不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「防波堤に沿った道路。武田酒店ってご存知ですか?そこのバス停で降りるんです」
オレは基本アウトドアなので、地元でも地理はてんでダメ。
具体的にどこかはわからないが、海のすぐそばということはわかった。
「バスは乗り換えたりしないのか?」
「はい。このまま乗っていけばいずれ着きます」
へえ。
今度行ってみようかな。
「バス、止まりますよ」
オレが降りるバス停だ。
リンに言われて、オレはカバンをもって立ち上がる。
「しょうもない話に付き合ってくれてありがとな」
オレがそう言うとリンは、意外、というような顔を見せた。
(∵)こんな顔。
「別にしょうもない話じゃなかったですよ」
?そうか?
「少し……面白かったです」
「そう言ってくれると、しゃべった甲斐があるかもな」
軽い気持ちで、そう答えた。
「じゃあ。また明日」
そう、明日も部活だ。
「はい。また明日」
リンは淡々としていた。
それでも、はじめて見たときよりは変化を持って。
そんな気がした。