不思議病-フシギビョウ-は死に至る


集団宿泊の話題は部活に持ち越した。

「へえ……そういえばそんな時期だね」

それで三年の二人に尋ねてみた。

「楽しんできてね」

「とんだ災難だね!」

「友達たくさん作ってきなよ」

「あんな監獄に二泊三日とは可哀想に!」

「カッターとかいろいろ……みんなで協力するんだね」

「船の上は地獄絵図!」

さっきからカナコにあわせてキョウスケが不吉なことを言っている。

「なんで邪魔するかな?」

「事実を言ったまでだよ。空想妄想ワールドで美しさを語るより現実を見てどう行動すればいいのかを教えるのが指導者の役目じゃないかね?」

キョウスケ……夢がない。

オレが言えた義理でもないか。

「なんだか面白そうに聞こえません」

「本当に楽しめるかどうかはキミたち次第だよ」

「さっきと言ってる事が違いますよ、せんぱーい」



今日も六人全員が文芸部に出席。

真面目なのかそれとも暇なのだけなのか。



「そういえば部屋割りとか班とか……日程も聞いていませんね」

「カッターするとは聞いたけどねえ」

カッターとはオールでこぐ大型のボートのことらしい。

「まあ自分で調べない限り行事を直前まで知らされないからね」

「みんなも気をつけたほうがいいよ。『今日は大掃除やります!』『聞いてない!』なんてよくあることだもん」

「調べるっても、どこでどうやって?」

「ホールの掲示板か学校のホームページを確認したまえ」


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