不思議病-フシギビョウ-は死に至る


それをカナコがリンに手渡そうとして、……止まった。



「これを見せていいのかなあ」

「みんな正式な部員なのだから、当然見せるべきだろう」

「でもさ」

「判断は我々がするものではないさ」

「……いいこと言っているように見せかけてなにか考えてない?キョウスケ君」

「なにも?」

じゃあいいけど、とファイルがリンの手に渡される。

ありがとうございます、と軽く会釈してリンはファイルを開いた。





固まった。





「どうしたんだ?リン」

「い、いや、あの……」

覗いてみようとするが、……リンが後ろに回らせてくれない。

「なにが書いてあるのよ」

サヤも興味を持ったようだが、……リンが後ろに回らせてくれない。

オレたち二人が一歩近づくたび、リンが後退りする。

「?」

挙句、エイヤも気になってきたようだったが、……リンが後ろに回らせてくれない。

自然と三対一の、取り囲む構図が出来上がる。

「大人しく見せてくれ」

「これは……ダメですっ」

「今見せると後が楽よ」

「これは見ないほうがいいです!」

心なしか、リンの顔が赤い。

一層、ファイルの中身に興味が湧く。



「ナオキ、左。エイヤは右。あたしは真ん中」

サヤが指示した。


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