不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「ははは、では!」

高速で部屋から飛び出すキョウスケ。



……逃げた。



あとでキョウスケがリンにこっそり何かを渡していたが、それはまた別の話。



「あー、みんな、リレー小説書く?」

カナコは別のファイルを手に持っていた。

「じゃああれは?」

「ちょっと鎌かけてみたんだ。……リンさん、サヤさんも、今からゆっくり話が聞きたいな」

「なんですか?」

これもまた別の話。





「なんぞこれ」

今の状況に思わずつぶやいてみる。

女性陣だけで話しがあるようで、部室から出て行ってしまった。

キョウスケも戻ってこないので残っているのはオレとエイヤの二人になる。

もともと口数の少ないエイヤだ。
オレと二人きりになったらどうなるかは容易に想像できるはず。



うん、空気が重い。

前にもあったなこれ。昨日の帰りか?

仕方がないから話題を振るしかない。

しかし昨日のような話をするのはどうなんだろうか?

ここは一つ、月並みに。

「中学校はどこ出身?」

なんてことを聞いてみた。



エイヤは少し考えている。

何か悩むことがあるのか?

だが、観念したように言った。

「……北中だ」

「北……山の方か。まあここらへんに住んでいるんだったら普通か」

確か、山の方はかなりあぶないって噂が立ってたが。

まあ中学校で流行る噂は根も葉もない。

オレが通っていた海の方もやばいと言われていたが、そんなことはなかった。


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