不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「*おおっと*、じゃあここで」
気がついたらもうオレが降りるところまで来ていた。
「はい」
リンは最後までいつもの本を開かなかった。
そういえばいつも同じ本――ブックカバーが同じだけで違う本の可能性もある――だが、一体何の本を読んでいるんだろうか?
これまでのことを考えると、きっと教えてくれなさそうだが。
オレは特に本に興味を持たないが、読みやすいものなら貸してもらおうか。
……それはまともな文芸活動かも?
「また明日な」
そう告げて、バスを降りる。
オレを降ろしたバスは次のバス停に向かっていった。
オレは、一人バス停に取り残される。
「『また明日』、か」
オレがこう言うのは、きっと明日が待ち遠しいからだろう。
一昨日のオレは、今のオレがこうなることを予想できただろうか?
たった三日だが、随分変わったと思う。
もしかしたら、一週間だけじゃなく、それからも続いていくかもしれない。
なんて思って、いいのだろうか?