不思議病-フシギビョウ-は死に至る
早速、リンの本の中身を見てみる。
その本には、一行の文が間隔を空けて書いてある。
それがいくつも。
ところどころに普通の文が書いてあるものの、多くが強調される一行の集まり。
一応国語の授業を受けているオレには、それが何か見当がついた。
「……短歌集?」
「そうです」
「いつもこれ読んでるのか?」
「はい」
短歌集か。
普通の小説かと思っていたが……よくわからんがオレにしてみれば風変わりだ。
短い言葉。
――の割に意味が複雑で、テストで暗記するのがメンドクサイ。
そんな記憶がある。
「読んでみますか?」
「へ?あ……」
どうしようか。
オレは活字があまり得意ではない。得意じゃないというか好きではない。
そりゃあ、まあ、普通の小説より読みやすそうだが。
こういったものは見た目以上の難易度を秘めているものだ。
けだるい朝。
気が進まない。
「リンが読む本がなくなるじゃないか」
オレはリンが他に薄い本を持っているのを知っていたが、そう言ってみた。
「……そうですね」
納得される。