不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「さて、具体案に持って行こうか」
駅前十一時以上の具体性がでるのだろうか?
「何か嫌いな食べ物あったりする?……あ、音痴は認めないなあ」
カナコが聞く。
「嫌いなものないですよー」
「俺も」
「オレも」
最後に答えなければ無視されることもないかもしれない。
そうやって水面に写った月に石を投じ……。
「私は……」
あれ?
これも一環なのか?
「私はイクラが嫌いです」
イクラ……高級品だな。
美味いものが嫌いなのは人生の半分損していると思う。
いや、ちょっと待て。
リンが苦手なものあるってのは違和感がある。
逆に考えるんだ!!
リンはものをよく知っている。
オレが知っている豆知識でいくと……落語だ。
タイトルは忘れたが『お茶が怖い。ついでまんじゅうが怖い』って言って、自分が欲しいものを出させる……それを実践しようとしているんだ……!
「あと何が嫌いなんだ?」
「メロンが嫌いです」
やっぱり!!
そんなものが嫌いなわけがない!
きっと、オレたちを陥れようとしているんだ!!
「だまされない!だまされないぞオレは……!」