不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「……?」

みんな頭に疑問符を浮かべていたが、

「なるほど」

まず、キョウスケが理解したようだった。

オレはリン以外の人間を集め、小声で説明する。

「リン君は意外と欲張りなんだね」

「はい?」

「そんな意図があるなんてわからなかったよ、ごめん」

「あたしもー」

いつまでもすっとぼけるリン。

「じゃあ歓迎会はその手の店でやるかね」

「その場合、部費から出るんすか?」

「無理だ。寿司チェーン店くらいならまだ大丈夫だが」

「えと、みなさん、何の話を?」

「何だよ。とぼけるなよ。あ、オレステーキが嫌いです」

「あたしは本マグロ!」

「俺も」

「わたしはマツタケ」

「みなさん、食べたことあるんですかそれ?」

いやいやいや。

オレのはあるだろ。

「何、素直に言ってくれても構わんよ、リン君」

「いや、だから何の話を」

「リンこそとぼけんなって」





「私は大真面目ですけど」





……あれ?

「誰だね?こんなことを言い出したのは」

あ、オレです。サーセン。







リンは本気で嫌いなものを言っていた。

イクラとメロン。

「なんで寿司チェーン店はどちらもあるんでしょう?」

「イクラはともかくメロンはどうなのかね?」

「それよりコーヒーが回ってないのが気に」
「においがきついからに決まってるじゃないですか」

あ、リンが冷たい。


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