不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「おかしなナオキさん」
そう言ってから、いつもどおり本を読み出すリン。
オレはリンにちょっかいをかける気など起こらなかった。
それは朝のせいではない。
実は、ただ単に尋ねればいいだけなのかもしれない。
ただオレには、そうする勇気がない。
リンには不思議な部分があると思う。
オレではとても解せないような部分が。
だが、オレはそれを知りたいのかもしれない。
「ナオキー」
そういうのを怖いもの見たさと言うのかもしれない。
「ナオキー?」
――いや、もっと単純なこと。
「ナオキー?」
それは。
「こりゃ、いつもの妄想かな?」
――その笑顔をもっと知りたいだけ。
「ナオキさん?」
「……へ?あ、何?」
「うわー、ナオキ、僕のときは無視してリンちゃんの言うことは聞くんだ」
「ああ、悪い、藤沢」
この考えを、気持ちを、気分を、なんて言うんだろうな。
そういうことはきっと本をよく読んでいるリンの方が知ってそうだ。
オレには到底思いつかないような言葉。
そんなものを期待してしまう。
知りたいと思う。
ここにメンドクサイという言葉は要らない。
「大丈夫だ。ちょっとまじめな考えことしてただけで」
「ナオキさんがここまでまじめな考え事だなんて……今日は槍でも降るんですか?」