不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「ほ、ほら!もうナオキさん降りるところですよ」

あ、本当だ。



「じゃあな、リン」

そういえば、明日は新入部員歓迎会だったな。

「――また明日」

そう付け加える。

リンは、

「はい」

と消え入りそうな声で答えただけだった。



バスが停車する。

「じゃ」

オレが降りようとしたところ、

「あのっ」

リンに呼び止められてしまった。

「あのっ、ちゃんと明日来てくださいね……」

「ああ、わかってるよ」

そんなことで呼び止めたのかと思ったが、リンの言葉は続く。

「それから、明日だけじゃなくて、月曜日も、それからずっと……!」

ああ、そういうことか。

リンは一人で寂しい思いをしていたのかもしれない。

そしてこれは自惚れかも知れないが……オレがいるから。

オレがいるから、リンは安心できるのかもしれない。



オレも、確か前に言ったことがある。

オレも、リンがいると安心するって。



そうだったら、お互い様だな。

「ああ!」

リンの顔を見るために、文芸部出席も悪くない。

オレはその言葉に――それから、期待に答えるように強く答えた。


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