不思議病-フシギビョウ-は死に至る


「ちゃんと来ましたね」

「悪いかー!!」



集合は駅前。

このバスは途中からちがう方向になるので、学校のところのバス停でバスを乗り換えなくてはいけない。

結局、学校まではいつもと同じになる。



「お昼を食べた後はカラオケになるんですよね」

不意にリンが言った。

「そうだな」

それがどうしたんだろうか。

「私……最近の曲を知らないんですよ」

まあ、いらない心配だろう。

「オレもだ。そもそも、カラオケ行くなんて初めてだぜ」

「そうなんですか。私もです」

意外と共通点のある二人だ。

「まあなんとかなるさ」

あのメンバーだから、自分のリクエスト通りの歌しか歌わないなんてことはないだろう。

波乱が予想される。

「……恐ろしいことになりそうだ」

「……そうですね」

リンも同じことを考えていたようだ。



「そのときのオレたちはまだ知らなかった。これが後に『文芸部カラオケ事件』と呼ばれることになるなんて」

「やめてください、そういうの」

「おおーキョウスケ。こんなところで寝るなよ。ん……?リン、そこのジュース取ってくれ」

「はい」

「……同じ温度だ」

「なんで冷たくなってるんですか!?あといらないですよねジュース」


< 78 / 248 >

この作品をシェア

pagetop