不思議病-フシギビョウ-は死に至る
「アレ、とか、明確な理由もなく私の隣に座らないでください」
「じゃあなんで隣に座っちゃダメなんだよ。明確な理由あるのか?」
賛成も反対も意見がなければ出来ない。
「……本が読めません」
「読めよ。読めばいいじゃん。どうぞどうぞ」
「隣に人がいては読みにくいです」
……前もこんなことあったな。
前というか、つい最近のことだが。
「文句の多い奴だ」
……仕方ない、オレが譲ろう。
オレは隣の二人席に移った。
二人には、真ん中の通路分の間が空く。
「なんか、一緒の目的地に向かっているように見えねえ」
「別に、このバスに乗っている人の目的地は大体同じですよ」
それは正論だ。
しかし、後ろも隣もダメだなんて、一体どうなっているんだよ。
『オレの後ろに立つな』ってか?
でも、後ろに座ったらどうなるんだろうか。
振り向きざまにチョップでも入れられるんだろうか。
それはそれでいやだな。
結局、オレたち二人、それから話すことはなかった。
リンは本を熟読していたし、オレもチョップで頭がいっぱいになっていた。
チョップチョップチョップ。