バンドマン
■プロローグ
空気が熱を持って膨れ上がり、俺の体を貫いて爆発した。
心臓の奥底が激しく震える。
赤、青、緑と目まぐるしく変わるライトは、ちっぽけなライヴハウスを異空間に思わせた。
ずんずんと、脈を打つ空間。
アドレナリンが身体中を巡って、頭の芯がズキズキと痛んだ。
「――――!」
絶叫。
マイクに噛みつかんばかりの、絶叫。
照らし出されたステージの上で、ボーカルが跪いている。
両手でマイクを引っつかみ、金髪を振り乱しながらわめいていた。