学校では教えてくれない"不倫学"
人間は、大人になると「してもらう」ことではなく、「してあげる」ことに大きな価値を見出すようになります。

もちろん、子どもでも「してあげる」ことはあります。父の日に父親の似顔絵を描いてプレゼントすることなどがいい例です。

でも、その「してあげる」は、必ず父親の笑顔とか感謝という見返りを求めています。
でなければ、無反応な父親にショックを受けることはありません。

それは、子どもである以上しかたがありません。

子どもは、愛することを知らずに生まれてきます。成長するなかで、自分が愛されてきた経験から、人を愛する方法を学んでいくのです。

ですから、子どもの恋愛は試行錯誤の連続であり、とくに十代の恋では多くの失敗をするのです。

でも、その失敗のなかから、こういうときはこうしなきゃ相手に迷惑がかかるだろうなとか、この場合は自分がガマンしなきゃいけないだろうなとか、大人になるとだんだんと、そういった相手への気くばりとか想いやりとかがわかり、大人として人を愛することを学んでいくのです。

ちょうど、親が子どもに見返りを求めずに世話をするような愛し方を。


不倫の恋は、そういった大人としての人の愛し方を、必ず求められる恋愛です。

自分が逢いたいからといって、それを押し通すのではなく、自分のそのキモチ以上に相手のことを考えるのですから、そこには、見返りを求めない「無私の愛」があります。

自分よりも、相手。フツーの恋愛をしていたら、なかなかそうは思えないのに、不倫の場合は、あたりまえのようにそう思えるのです。

大人の恋愛というのは、大人として社会のルールに背くリスクを背負うことでもありますが、それ以上に、自分以外の人の幸せを願う恋愛関係なのです。

それは、不倫の恋にだけ起こり得ることではありません。

ただ、フツーの恋愛の場合は、相手のことを大事だと思えるようになったから、段階的にそう思えるようになるのに対して、不倫の恋には、急激におなじようなキモチがわいてくるというちがいがあります。

そういう面でも、不倫の恋は特殊な恋愛と言えるのです。
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