月は太陽に恋をした
家にすぐに帰るのもつまんねぇから俺はいつものように近所の河原に行った。
学校が終わってからはこの殺風景な河原の草に寝転がっている事が多い。
家も一人暮らしだから誰も待ってねぇからな。
河原にはいつもサァーッと心地よい風が吹き抜ける。
ここで寝転がっている時だけが、俺の落ち着ける時間だ。
『…今日夕飯なに食おうかな』
冷蔵庫には何もなかったはずだからな…
『…コンビニ、行くか』
さっきまで茜色だった空には、どんよりと黒い雲がかかりはじめている。
雨降るか?
さっさと行って帰るか…。
俺がゆっくり立ち上がると、背中についた草や埃を払った。
ぐーっと背筋を伸ばした時、河原にかかるでかい橋に一人の女がぼんやりと立たずんでいるのが見えた。