立花香織の秘密
少し歩いたところで、ハンバーガーショップに入った。
注文して席に着くと、煉が話掛けてきた。
「ねぇ? 香織の家大きいだろう? 僕を香織の家に置いてくれないかな?」
いきなりそんな事を聞いてきたから、喉にハンバーガーが詰まりそうだった。
どうにか、詰まるのを阻止して、
「どうして、そんなこと聞くの?」
と、聞いてみる。
「実は、僕のお母様とお父様、今凄く仲が悪くて、たまに僕を巻き込んでくるんだよ。だから、お母様とお父様が仲直りするまででいいから、置いてもらえそうなところを探そうと思っててさ。だから、聞いたんだけどダメならいいんだよ」
そう言って、窓の外を見つめている。
だから、私は、
「別に、構わないわよ! お父様、今家にいないの、帰ってくることもないだろうし!」
と、煉に訴えかけた。
本当は、寂しさを紛らわせるために、誰かが自分のそばにいて欲しかっただけだった。
お父様が出て行って、一週間くらいたっている。
でも、お父様はぜんぜん帰ってこない。
私は寂しくてたまらなかった。
だから、よかったと、ほっとしている。
すると、
「本当にいいのかな?」
と、煉は聞いてきた。
だから、
「もちろん、いいに決まってるでしょ!」
と、答えた。
煉はそれを聞くと、嬉しそうに顔をほころばせて言った。
「ありがとう。それじゃあ、これから荷物を取りにいって、香織の家に行くよ」
「わかったわ。それじゃあ、またあとでね!」
私は手は手を振りながら言った。
そして、店を出て、家へ帰るために歩きはじめた。
その時だった。


「きゃぁぁぁーーーーーー!!!!」


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