立花香織の秘密
家に着くと、そこにはもう煉がいた。
「遅かったね。どうしたの、その子達」
と、聞いてきたので、
「家の中で話すわ」
と、言って家に入った。
私の家は、広々としすぎていて、一人でいると気持ち悪くなることがある。
それぐらい広くて、空間がある。
煉はそれを知っていたから聞いたんだと思う。
私は少女達をベットに寝かしながらそう思った。
そして、さっきあったことを、細かく、わかる範囲で煉に話した。
「そうなんだ。じゃあ、この子の父親が刺したってことだね。でも、勝手にこの子達をヴァンパイアにしてしまって、よかったのかい? 父親は死んだ、母親はいるだろう?」
私は首を振りながら問いに答えた。
「いないのよ、母親も。この子達を殺人犯から救うために2年くらい前に、死んでしまったみたいで……。父親が殺そうとした理由は、母親を殺されて、一生懸命育てているのに、我がままを言って聞かないから、うっとうしくなったみたい……」
「……そうなんだ。じゃあ、この子達にはもう、親はいないんだね……。可愛そうに……」
「そうね……」
沈黙が続いた。

「喉が渇いた……」

「体が熱い……」

そんな、二人の少女の声が沈黙を破った。
そして、さらに驚くような光景が目に入った。
二人の少女は、同時に相手の首筋に牙を埋め込み、血を与えあっていた。
こんな光景は初めてみる。
私たちは、二人の少女を見守ることしか出来なかった。
何をすればいいのか、よくわからなかったから。

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