はないちもんめ
早紀のお父さんは
困った顔をしながら
恵に釣り竿を持たせる。
「恵に出来るか・・」

恵が釣り竿を持つと
恵が釣り竿を
持っているのか?
釣り竿が恵を
持っているのか?
分からないぐらい
大きかった。

波が寄せては返す度に
恵の小さな体は
海へと持って
かれそうになる。
早紀のお父さんは
恵の後に周り
波に持って
かれそうになる体を
守るように支えている。
ピクピク

恵が持っている
竿先が動く。

早紀のお父さんは
そんな竿先を見ると
ムキになりながら
恵に伝える。

「恵!!竿!!竿!!リールを巻くんだ!!これだ!!これがリールだ!!」

小さな手で
リールを巻こうとするが力が足りず
巻けずにいる恵。

「恵!!おじいちゃんに変わって!!魚、釣ってくれるって!!」

早紀の言葉を聞き
恵はゆっくりと
早紀のお父さんに
釣り竿を渡す。
渡されたと同時に
リールを素早く巻く。

砂浜から
仕掛けが現れ
その先には
細長く白い魚が
針にかかっていた。

「キスだ。あ~あ・・針、飲んじまってる・・・外すのキツイなぁ・・・」

早紀のお父さんが
釣った魚の横に
チョコンと座り
魚をジッと
見つめている。
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