はないちもんめ
私が
お父さんに言葉を
かけようとすると
少し寂しそうに
お父さんから
話し始める。

「俺も歳だな・・・疲れた・・・帰らないか?」
私は
早紀のお父さんから
そんな言葉が
出るとは思わなかった。
自分でも
やはり歳を
感じているんだと
思った。
しかし
それは違った。
遠くの方で
海を眺めている
早紀と恵に
目が向けられていた。

早紀のお父さんは
語る言葉は少ないが
娘夫婦に
気を使わせているんだと感じ
寂しくなり
逆に気を
使わせているんだと
感じた。

寂しそうに
釣り竿をしまう
早紀のお父さんに
私は
思いっきり
明るく振る舞った。

「今夜、一杯、付き合ってくれませんか?明日、午前中に出るんで、お願いします」

早紀のお父さんは
嬉しそうな顔をした後
何も言わず
黙々と釣り竿を
片付け
1人
車へ向かう。

私も釣り竿をしまい
早紀と恵を
浜辺
全体に
響き渡る声で呼ぶ。

「さーきー!!めぐみー!!」

遠くで
海を眺める
早紀と恵が
私の方へ向かって来る。
そして
車に乗り
早紀の家へと車を
向かわせる。

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