はないちもんめ
「良いんですよ。直人だって迷惑かける時もあるんだから、お互い様ですよ。恵ちゃん、幼稚園に行こう」

直人くんのお母さんが
恵に微笑みかけると
早紀の腕から
逃げる様に直人くんの
お母さんの所に行く。

「すいませんがよろしくお願いします」

早紀が頭を下げると
直人くんのお母さんも
頭を下げた。

静かにパタンと
閉まるドア。

閉まるドアを
見ながら
早紀は
ある事に気付く。

早紀の実家から
帰ってからは
この家での怪奇な
事が一切
起きてない事を。

早紀は思った。
お婆ちゃんが
この家族を
守ってくれていると。

15時48分。
ドアから
ノックをする音が
聞こえる。

その音に
反応するかの様に
ドアに向かう。

ガチャッ・・・。

ドアの先には
直人くんの
お母さんと恵の姿が
見られた。

すかさず
直人くんのお母さんに
恵の様子を訪ねる。

「今日、恵、どうでしたか?我がまま言ったり、泣き出したりしませんでした?」

直人くんのお母さんは
恵の頭を撫でながら
笑顔にで答える。

「いいえ。とても良い子でしたよ。ねっ、恵ちゃん」

恵は
その言葉にニコッと
微笑む。

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