はないちもんめ

母の寂しさと我が子

昨日の事が
まるで夢の様だった。
太陽の日差しは
優しく
風は穏やかに
頬を撫でる。
早紀は全ての事を
夫に話した。
迷える子供の魂は
行くべき場所に
行った・・・。

これからは
家族には安息の日が
訪れる・・・。

早紀と夫は確信した。

今日は
家族でピクニックに
行く事にした。

家を出て
車で走る。
外の景色は暖かな風が
優しく草を撫でる。

場所に着くと
早紀は
ビニールシートを
大きく広げる。
ビニールシートが
風のいたずらで
飛ばない様に
近くの石で
しっかり止める。

麦藁帽子の恵は
一輪の小さな白い花を
その小さな手で
早紀に渡し
ニッコリと微笑む。

早紀は一輪の花を
恵の麦藁帽子に付ける。
そんな姿を見て
微笑む夫。

やっと
本来の
家族の姿が戻った。

帰る頃には
空がオレンジ色が
大地をもオレンジ色に
染めていた。

車で帰る途中
寺の前に差し掛かる。
すると
まるで
待っていたかの様に
住職の姿があった。

車を停車させ
夫は車から降り
住職に会釈する。

住職は
穏やかな
表情を浮かべる。

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