はないちもんめ

桜井は恵みに
近づき恵の背の高さまでしゃがみニッコリと
微笑む。
「恵、桜井先生に、ご挨拶は？」
すると恵は
早紀の足に
しがみつきながら
小さな声で挨拶をする。「こんにちは」
恵の姿を見て
微笑む岸部と桜井。
恥ずかしそうに
答える早紀。
「すいません。この子、人見知りするんですよ」そんな早紀に
微笑みながら
答える岸部。
「気になさらないで下さい。この歳の子にとってお母さんは安全地帯なんですよ。徐々に慣れてきますよ」
恵と早紀は幼稚園を
室内の案内を紹介され
帰る頃には
１６時を大きく
まわっていた。
自転車の後に
乗っている恵に
話しかける。
「今日ね、お父さん、帰るの遅くなるって言ってたから、どこかで食べて行こうよ」
恵はニッコリ微笑んだ。早紀と恵は
食事を済ませ
自宅に帰る事にした。
ほんのりと
薄暗い道を
自転車のライトを
頼りに走る。
「もうちょっと早く帰ろうかと思ったけど、遅くなっちゃったね」
恵に話しかける早紀。
「虫の声、沢山するね」自転車の後から
恵が答える。
「うん、そうだね。コオロギさんかな？スズムシさんかな？」
早紀が楽しそうに
恵に話しかける。