はないちもんめ
すると妻は
棒立ちのまま
何も言おうとしなかった。
私は不意に妻に言葉を
かける。
「早紀、ご近所のおばあちゃんだよ」
すると、妻は不思議そうに私の顔を見て
「あなた・・・おばあちゃん・・・って、どこにいるの?」
妻の言葉を否定しつつ
玄関を見る。
「何、言ってるんだよ。いるじゃないか・・・あれ・・・いない・・確かに・・・いたんだけどな・・・」
靴を履き外まで行き
見渡すが
やはり、誰もいなかった「おかしいな・・・確かにいたんだよな・・それに、インターホンの音、早紀も聞いたよな?」
「確かに、インターホンの音は聞いたけど・・・ご近所と言っても、あんなに離れてるのよ。何かの拍子でインターホンが鳴ってしまったんじゃないの?」
妻の言うとおり
ご近所と言っても
住宅地の様に
密集してる訳でなく
家の真っ正面は山に
囲まれ家が
ポツンポツンと
あるだけで
老婆が歩ける様な
距離ではなかった。
「色々と忙しかったし疲れてるのよ」
あっきらかんとして
言う妻だった。
ここの所
忙しかったし
疲れているのは
事実だった。
「私も疲れちゃたから今日は外食にしない?恵もレストランでハンバーグ食べたいでしょ?」
「うん!!」
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