はないちもんめ
私は中廊下から
顔を出し
早紀を呼んだ。

早紀は返事もせずに
恵の部屋へと来る
「この襖・・・・昨日も・・・こんな感じだったのか・・・?」
私は早紀に
途切れ途切れの
言葉で訪ねる。
早紀は大きく目を
見開き
両手で口を覆った・・・襖には
小さな子供が
覚えたての
字を書いたような
襖の黄ばんだシミで
書かれた様に

お父さんお母さんお父さんお母さんお父さんお母さんお父さんお母さんお父さんお母さんお父さんお母さんと
色々な大きさで
無数に
かかれていた・・・
その文字は
叫び声の様に見えた・・早紀が
ワナワナと
心の底から
震えているのが
分かった。
「今日は、ここの部屋で寝るのはやめよう・・・あっちの部屋で寝よう」涙目になっている
早紀の手を取り
中廊下を挟んだ
向かいの部屋へと
布団を運ぶ。
これは幻覚や幻聴でも
無い事は明確だった。
その夜は私も早紀も
一睡も
出来ずに
夜が明けた・・・・・
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