はないちもんめ
恵が書いた絵を
見ていると
園児達の元気な声が
廊下に響いてくる・・・
「せんせい さようなら みなさん さようなら」
早紀は
絵から目を話し
恵の教室の方に
目を向けると
ボロボロの白いシャツ
穴あきの半ズボンを
履いた男の子が
早紀を見ながら
寂しそうに
目から涙を
1滴ながすと
涙は男の子の頬を伝わり園児達の元気な声と
まるで交わる様に
廊下に落ちる・・・

そして
男の子の体は
透き通りながら
消えていく・・・・

何故だか
分からなかったが
気が付くと
早紀の目からも
涙が止めどなく
流れていた・・・

帰りの挨拶を
終えた
恵が教室から
出てくる。

涙で
恵の制服姿が
潤んで見える。

早紀の姿を見て
駆け寄る恵。
早紀の涙を見た
恵も
泣き出してしまう・・

恵は岸部を見るなり
岸部に鳴きながら怒る。
「えんちょうせんせい、おかあさん、いじめたらだめだよぉ~」

恵の言葉を聞き
早紀は流れる涙を
吹きながら
恵に笑顔を見せる。

「違う・・違うの。お母さんのおめめにゴミがはいちゃったの。園長先生、優しいでしょ」

早紀が
恵に伝えると
恵はあどけない表情で
聞いてくる。

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