はないちもんめ
自分の車が見える。
恵が車内で
私を指差し
早紀に話しかけている。早紀も私を
早くしろと
言わんばかりに
手招きをしている。

車内に戻り
車のキーを回し
クラッチを踏みながら
ローまでシフトを
持っていく。

「はあはあ、凄い混んじゃってて、ビックリしたよ。ギリギリ、間に合うね」

私が息を切らせながら
言うと
早紀は笑いながら
伝えてくる。

「もう、間に合わないかと思ったぁ~」

係員に乗船券を渡し
船に乗る事が出来た。

ギリギリでの
乗船という事もあり
船の後ろの方に
停車となる。

そして
船内の外まで聞こえる
汽笛が鳴り響く

ボォー!!

私は恵に

車が入って来た所を
微笑みながら
見るように伝える。

「恵、後、見てごらん」
私が恵に伝えると
私の言葉を真似る。

「うしろぉ~?」

凄まじい音の
汽笛と共に
船の重そうな
出入り口が
徐々に上へと上がり
閉まって行く。
そんな
たわいもない事だが
恵は目を輝かせながら
喜んでいる。

「しまってるぅ~」

出入り口が
完全に閉まり
汽笛が鳴り止む。

「船の上に行って、ジュースでも飲もうよ」
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