はないちもんめ
早紀は
今までの恵に
目線を合わせて
いたのか?
お母さんの言葉の
一つ一つ
心に刻んだ。

ガラガラガラ

玄関の扉が開く
音がする。

「ホタル・・・見てたら・・・恵・・・寝ちまった・・・」

早紀のお父さんの
背中に
ぐっすりと眠っている
恵の姿。
早紀のお母さんは
その姿を見て
微笑み
早紀の所を見る。

「早紀が小さかった頃が、つい最近の様に感じられるわ・・・」

早紀のお父さんは
少し疲れた様子で
早紀のお母さんに
伝える。

「蚊にさされると、いけねぇ・・・カヤと布団・・・用意してくれ・・」
恵のお母さんは
優しく微笑み
布団とカヤを用意した。
「カヤかぁ~懐かしいですね。子供の頃、のり巻きって言いながら、グチャグチャにして怒られましたよ。」

私がゲラゲラ笑うと
家中に
笑い声が響いた。

「私達も寝ようよ。」

早紀の言葉に
同意した。

私はカヤの下を
僅かに開け
素早く入ると
早紀も私の後に
続く様に
同じ様に入ってくる。

早紀のお母さんが
昔懐かしい
裸電球のスイッチを
クルリと回し消す。

暗闇に包まれた部屋は
外から聞こえる
虫の調べだけだった。
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