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湊 かなえ
告白
実は、話題作というのが得意ではない。
レベルが高いのはわかってるんだけど、度を越した期待を胸に読んで裏切られるのが怖いというか…
「告白」も、例にもれず。
「2009年度○○大賞」みたいなのに選ばれているらしい。しかも複数受賞。
すごーい。
でも読んだの2010年5月。
読み始めてすぐ、「これはもっと早く読みたかった」
素直に思った。
生まれて初めて、驚きすぎて笑っちゃう、という一種の錯乱状態。
笑ってる自分に気づいて訳わかんなくなっちゃったもんね。
そんなに、驚いて笑うって経験がなかったもんで。
友達が曲がり角に隠れてて、「わっ」ってされて笑うのと種類が違うもん。
驚きおののく、っていうのがより近いんだろうか。
とりあえず、だまされたと思って、「先生の告白」を最後まで読む。
最後の最後で、驚きおののき笑います。
それからあとは、右手の親指と人差指にコロボックルがついてくれます。
~ネタばれ注意~
私は、「子供を殺された母親」の報復が、「犯人に自らの手によって母親を殺させる」ことで幕を閉じることに大きく心を揺さぶられました。
一方は放任によって、もう一方は過保護によって、子供は精神を病んでいった訳ですが。
でもそこに愛があったことは間違いないのに。
たとえ一方通行でも、そうでなくても。
親は無条件で子供を愛します。
子は無条件で親を愛します。
この物語では、そこがどういう形であれ歪んだとき、「何か」が起きているのです。
愛がなくなったわけではないのです。ただ、歪んでいるのです。
わが子を亡くしたことで愛ゆえに静かな狂気に走り、
引き離された母親を慕い愛ゆえにインテリジェントな暴力に走り、
愛ゆえに過保護となった母親のもと、我慢を知らず理性をなくす。
愛があればいいってもんじゃないのね~、と、今更ながら思います。
私が親になったとき、子供をきちんと愛し、導けるだろうか。
そんな親になりたいと思います。