Garnet~ガーネット~
ホワイトデーの前日。
その日は涼吾が桜良の家に遊びに来ていた。
「バレンタインのお返しだけど、14日はちょっと無理そうなんだけど待っててな?」
「お返しなんてそんなの全然いいよ!!」
「ホワイトデーに渡すもの、決まってるんだけど、もう少し待たないと来ないんだ。」
「そっか、楽しみにしてるね!!」
涼吾は大学から一人暮らしを始めることが決まっていて、その月の末に新居に引越しをした。
桜良はお昼過ぎから部屋の片づけを手伝っていたが思ったより時間がかかってしまい、終わったころには外がすっかり暗くなっていた。
夕飯はコンビニへ買出しに出かけ、手をつないで夜道を歩いた。
「はい、遅くなったけど。」
帰り道の途中でふと足を止めた涼吾は、小さな包みを桜良に手渡した。
「あ、ホワイトデー?ありがとー!!」
包みを開けてみると、入っていたのは部屋の合鍵だった。
「…どこの鍵??」
わかってはいたが、恐る恐る聞いた。
「バカ、俺の部屋の鍵に決まってんじゃん!!」
涼吾は桜良の頭をクシャクシャっと撫でた。
「うそぉ…うれしー…。」
その日、初めて涼吾に抱かれた。
泊まる予定はなかったけど、どうしても帰りたくなかった。
涼吾も、一緒にいたいと言ってくれた。
死ぬほど恥ずかしくて、痛くて涙が出たけど、涼吾の優しいキスと優しい腕に抱かれて幸せだった。
あれからたったの3ヶ月。今のこの状況は何だろう。
大学が別々だし、お互いの家も大学もそれなりに距離が離れているから、頻繁には会えなかったが、週に1日だけは必ず会うようにして…。
でも、涼吾は一緒にいても寝てしまうことが多かった。
夜中までバイトしてるせいだろうけど、バイトの後に遊びに行っているのを知ってる。
その中に女の子だって混じっていることも。
あの部屋に女の子が出入りしていることも。
携帯の着メロを、女と男で分けていることも。
今の生活が楽しくて、私を少し煩わしく思っていることも…。
みんな知ってる。そんなこと、見ていたら何となく分かるもんだ。
付き合い始めの頃のことを思い出すと、今でも幸せな気分になる。
でも今の二人のことを考えたらため息しか出ない。
(もうダメなのかもしれないな…。)
また一つため息をつきながら、桜良は電車に乗り込んだ。
その日は涼吾が桜良の家に遊びに来ていた。
「バレンタインのお返しだけど、14日はちょっと無理そうなんだけど待っててな?」
「お返しなんてそんなの全然いいよ!!」
「ホワイトデーに渡すもの、決まってるんだけど、もう少し待たないと来ないんだ。」
「そっか、楽しみにしてるね!!」
涼吾は大学から一人暮らしを始めることが決まっていて、その月の末に新居に引越しをした。
桜良はお昼過ぎから部屋の片づけを手伝っていたが思ったより時間がかかってしまい、終わったころには外がすっかり暗くなっていた。
夕飯はコンビニへ買出しに出かけ、手をつないで夜道を歩いた。
「はい、遅くなったけど。」
帰り道の途中でふと足を止めた涼吾は、小さな包みを桜良に手渡した。
「あ、ホワイトデー?ありがとー!!」
包みを開けてみると、入っていたのは部屋の合鍵だった。
「…どこの鍵??」
わかってはいたが、恐る恐る聞いた。
「バカ、俺の部屋の鍵に決まってんじゃん!!」
涼吾は桜良の頭をクシャクシャっと撫でた。
「うそぉ…うれしー…。」
その日、初めて涼吾に抱かれた。
泊まる予定はなかったけど、どうしても帰りたくなかった。
涼吾も、一緒にいたいと言ってくれた。
死ぬほど恥ずかしくて、痛くて涙が出たけど、涼吾の優しいキスと優しい腕に抱かれて幸せだった。
あれからたったの3ヶ月。今のこの状況は何だろう。
大学が別々だし、お互いの家も大学もそれなりに距離が離れているから、頻繁には会えなかったが、週に1日だけは必ず会うようにして…。
でも、涼吾は一緒にいても寝てしまうことが多かった。
夜中までバイトしてるせいだろうけど、バイトの後に遊びに行っているのを知ってる。
その中に女の子だって混じっていることも。
あの部屋に女の子が出入りしていることも。
携帯の着メロを、女と男で分けていることも。
今の生活が楽しくて、私を少し煩わしく思っていることも…。
みんな知ってる。そんなこと、見ていたら何となく分かるもんだ。
付き合い始めの頃のことを思い出すと、今でも幸せな気分になる。
でも今の二人のことを考えたらため息しか出ない。
(もうダメなのかもしれないな…。)
また一つため息をつきながら、桜良は電車に乗り込んだ。