たべちゃいたいほど、恋してる。

《それでは試してみましょうか》






「みんなのばかぁ…」





泣きながら校内を無我夢中で走り回っていた優衣。


勿論、誰もが認める方向音痴の優衣に自分のいる場所などわかるはずもなく。




「ここ、どこなのぉ…」




デジャブ。



キョロキョロと必死に辺りを見渡してみるが、ここが一体何処なのかまったくわからない。




(…もうやだぁ…みんな変なことばっか言うから、大上くんに嫌われちゃいそうだし…)




泣いた顔のままでは誰かに頼ることも出来ず、大粒の涙を溢しながら校舎を彷徨う。


場所はいまいちわからないが、何やら非常階段らしき場所にたどり着いた優衣は瞳から落ちる涙を拭うこともせず、その場に足を抱え蹲った。




「…ふっ…ぇぅ…大上く…あんな噂、聞いた…ら怒っちゃ、よぉ…」




(こんなちんちくりんと噂なんて、きっといい迷惑だもん。きっときっと怒っちゃう)




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